宇宙・海洋 / DEEP DIVE
航空・宇宙
完成機づくりへの再挑戦と、宇宙へ自前で行き来する力の両立
編集:株式会社アルテレクト / 更新
みらい図鑑の解説イラスト
AI GUIDE / MIRAIミライのやさしい解説
宇宙の技術は、地上で役立つ?
衛星は遠い宇宙にあるけれど、地図、通信、気象の情報として暮らしに届くよ。打ち上げと地上でのデータ活用をセットで考えよう。
高い場所から街を見渡す観測者のような役割。ただし衛星の種類によって観測できるものや頻度は違う。
衛星データだけで現場のすべては分からない。地上での確認や解析が必要で、安全性や宇宙ごみへの配慮も欠かせない。
- 6品目で想定する官民投資額(2040年度まで)
- 約18.5兆円[1] ロードマップが品目ごとに示す想定額(民間航空機3.5兆円、無人航空機0.3兆円、空飛ぶクルマ0.4兆円、ロケット・射場2.3兆円、人工衛星・サービス6.4兆円、月面・低軌道5.6兆円)を当社で合計
- 日本の航空機産業の年間売上高(2019年)
- 約2兆円[1] 新型コロナ感染拡大前の水準
- 軌道投入ロケットの打上げ成功数(2025年)
- 日本3回[1] 米国(SpaceX含む)192回、中国91回
- 衛星製造・運用とデータ利活用で目指す需要獲得(2040年)
- 約12兆円[1] 日本企業による国内外での需要獲得の目標
技術と暮らしが、つながる場面。
広い地域の地表の変化を調べる場面を例に、この分野の技術がどこで役立つのかを考えてみましょう。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。仕組み
航空と
- 民間航
空 :機体や機 エンジンは、 米欧の 完成機メーカー (OEM)が 全体を 設計し、 各国の メーカーが 主翼・胴体・エンジン部品などを 分担する 国際共同開発が 主流です。 日本は この 分担製造で 地位を 築いてきましたが、 完成機の 取りまとめ役ではありません [1]。 - ロケットと
射場 :衛星を軌道へ 運ぶ 輸送手段です。 打上げの 回数を 増やすには、 機体の 量産体制だけでなく、 射場や 試験設備と いった 地上インフラが 欠かせません [1]。 - 人工衛星と
サービス :通信・地球観測・測位の衛星を 製造・運用し、 その データを 防災、 農業、 安全保障などに 使う サービスへ つなげます。 衛星は 多数の 高精度 部品で できており、 サプライチェーンの 裾野が 広い 産業です [1]。 - 月面と
地球低軌道 :国際宇宙ステーションは203 0年頃から 民間主体へ 移行する 予定で、 宇宙ステーションでの 実験や 製造、 月面での 輸送・拠点づくりが 新たな 事業領域に なりつつあります [1]。
ドローンや
航空・宇宙は、どう動く?
ひとつの技術だけで完結するのではなく、前の工程が次の工程を支えています。図の矢印に沿って、役割のつながりを見てみましょう。
- 1打ち上げる
- 2軌道上で観測する
- 3地上で受信する
- 4データを分析する
市場と規模
ロードマップは、
一方、
航空では、
日本の強み
- 主要構造の
品質と :海外OEMとの実績 国際共同開発で、 三菱重工業・川崎重工業などが 主翼や胴体と いった 主要構造の 開発・製造を 長年担い、 品質面の 信頼を 築いてきました [1]。 - エンジンの
国際共同開発 :IHIなどがエンジンの 共同開発に 参加しており、 次期単通路機の エンジンでは 世界シェア約40%と いう 目標を 掲げられる 土台が あります [1]。 - 自前の
宇宙輸送と :基幹ロケット低軌道技術 (H3)に 加え、 宇宙ステーション補給機 (HTV-X) や 実験棟 「きぼう」、 宇宙デブリ除去などの 低軌道技術を 持ちます。 ロードマップは、 月面輸送技術を 持つのは 日米露中印、 低軌道輸送技術を 持つのは 日米露中のみと 整理しています [1]。 - 月面開発での
技術 :高精度な月面輸送技術や、 世界初の 有人与圧ローバの 開発に 向けた 技術を 持ち、 米国主導の アルテミス計画にも 参画しています [1]。 - 地政学上の
信頼性 :地政学的リスクの低さや 輸出管理上の 信頼性から、 航空需要の 増加が 見込まれる アジア諸国で 高い 信頼を 得ています [1]。
実用化には、何が必要?
衛星データだけで現場のすべては分からない。地上での確認や解析が必要で、安全性や宇宙ごみへの配慮も欠かせない。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。課題
- 単通路機市場への
参画が :日本は限定的 主に 双通路機で 成長してきており、 今後 大きく 伸びる 単通路機市場への 参画は 限られています [1]。 - 打上げの
頻度と :製造能力や国内インフラ サプライチェーンの 強化、 射場設備の 整備は、 基幹ロケット・新規参入ロケットともに 途上で、 国内衛星の 多くは 海外から 打ち上げられています [1]。 - 重要部品の
海外依存 :衛星用の太陽電池セルや 小型光通信端末などを 海外から 調達しており、 海外の 衛星需要が 増えると 供給が 滞る リスクが あります。 無人航 空機も、 単独の 国が 世界シェアの 7割以上を 占めています [1]。 - 試験環境の
不足 :ドローンや空飛ぶクルマの 開発では、 風洞などの 地上試験設備や 飛行試験の 場が 足りず、 技術開発や 認証の ボトルネックに なり得ます [1]。
主要プレイヤー
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA) ↗
基幹ロケット・衛星・探査の研究開発と宇宙戦略基金の運営
- 三菱重工業 ↗
H3ロケットの製造・打上げと民間航空機の主要構造の製造
- 川崎重工業 ↗
海外OEMとの国際共同開発で民間航空機の胴体などを分担製造
- IHI ↗
民間航空機エンジンの国際共同開発と部品製造
- ispace ↗
月面着陸機による月面への輸送サービスを開発
- アストロスケール ↗
宇宙デブリ除去など軌道上サービスを開発
- SkyDrive ↗
空飛ぶクルマ(電動垂直離着陸機)の機体を開発
- ACSL ↗
点検・物流・防災向けの国産ドローンを開発・製造
出典
- [1]戦略17分野における「主要な製品・技術等」の官民投資ロードマップ(航空・宇宙分野 p.94〜123)内閣官房(日本成長戦略本部決定)・2026-07-21
- [2]日本成長戦略内閣官房(閣議決定)・2026-07-21

