宇宙・海洋 / DEEP DIVE
海洋
海を「見る・潜る・掘る」技術で、守りと資源の自律性を高める
編集:株式会社アルテレクト / 更新
みらい図鑑の解説イラスト
AI GUIDE / MIRAIミライのやさしい解説
見えない海を、どう調べる?
海の中は電波が届きにくく、水圧も高い。観測機器や海洋ロボットで、陸上とは違う環境の情報を集めるんだ。
暗い部屋を少しずつ測って地図にするような仕事。ひとつの測定だけで、海全体を理解できるわけではない。
観測、資源の利用、環境の保全は別々の課題。調査で見つけることと、継続的に利用できることを区別しよう。
- 海洋無人機の世界市場
- 40〜50億ドル[1] ロードマップ(2026年7月)時点の記載。出典は一般社団法人海洋産業研究・振興協会。2030年頃には100億ドル超と見込む
- 海洋無人機で目指す世界シェア
- 3割[1] 10年後に40〜50億ドル程度(一定の仮定の下での試算値)
- 3品目で想定する官民投資額(2040年度まで)
- 約3.3兆円[1] 海洋無人機1.2兆円、MDA 1.2兆円、海底開発0.9兆円を当社で合計
- MDAサービスの海外展開目標
- 8か国程度[1] 2030年代前半まで。インド太平洋・シーレーン沿岸国が中心
技術と暮らしが、つながる場面。
海底の地形や海の環境を調査する場面を例に、この分野の技術がどこで役立つのかを考えてみましょう。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。仕組み
海洋分野は、
- 海洋無人機:
自律型無人探査機 (AUV) や 無人水上機 (USV)などです。 AIや センシング、 水中無線通信、 衛星との 連携が 進み、 1機ずつではなく 複数の 機体を 「群」と して 一体で 動かす 運用も 現れています [1]。 用途は 安全保障や 石油・ガス開発に 加え、 洋上風力、 養殖、 洋上設備の 保守、 環境保全へと 広がっています [1]。 - 海洋状況把握
(MDA) :海流・潮流、海底地形、 船舶の 動きなど 海に 関する 多様な 情報を 集めて 共有し、 海の 状況を 把握する 取り組みです。 日本では 海上保安庁が 運用する 「海しる」が 中心的な プラットフォームで、 安全な 航路の 設定や 海底資源の 探査などに 使われています [1]。 - 海底開発:日本周辺の
海域には、 メタンハイドレート、 石油・天然 ガス、 海底熱水鉱床、 コバルトリッチクラスト、 マンガン団塊、 レアアース泥の 存在が 確認されています。 深海底から 鉱物を 採る 技術は 世界的にも まだ 商 業化されておらず、 国際海底機構 (ISA)の 開発規則も 未策定です [1]。
海洋は、どう動く?
ひとつの技術だけで完結するのではなく、前の工程が次の工程を支えています。図の矢印に沿って、役割のつながりを見てみましょう。
- 1観測計画を立てる
- 2機器で測る
- 3データを解析する
- 4環境への影響を確認する
市場と規模
ロードマップは、
官民投資額は
日本の強み
- 深海探査の
技術 :造船技術などを背景に、 科学調査や 技術開発の 分野で 技術基盤を 育て、 特に 深海探査で 世界を リードしています。 精密計測、 長期安定運用、 環境負荷の 低さが 強みと されています [1]。 - レアアース泥の
試掘成功 :2026年2月、 内閣府の 大型研究プロジェクト (SIP) で、 水深6,000m級の 深海底から レアアース泥を 試掘する ことに 成功しました [1]。 - 国際的に
評価される :地球全体の観測データ 海洋 変動を リアルタイムで 捉える 国際プロジェクトに 参画し、 高品質な データの 収集・発信で 高い 評価を 受けています [1]。 - 情報を
集約する :基盤 「海しる」が 一定の 水準を 確立しており、 これを 高度 化して 安全保障と 民間の 海洋ビジネスの 双方の 基盤に する 構想です [1][2]。
実用化には、何が必要?
観測、資源の利用、環境の保全は別々の課題。調査で見つけることと、継続的に利用できることを区別しよう。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。課題
- 研究船・探査機の
老朽化 :海底資源の探査・採取に 必要な 研究船や 探査機の 老朽化が 進んで おり、 更新に 加えて 超深海探査母船の 建造を 含む 新たな プラットフォームが 必要と されています [1]。 - 産業化で
先行する :海洋無人機は、欧米 豊富な 資金力を 持つ 欧米が 石油・ガス開発や 安全保障の 分野で 産業化を 先行させています [1]。 - 常続的な
監視と :重要な情報の 活用 シーレーンや 領海の 情報を、より 常続的に 隙間なく 集める 能力と、 集めた 情報に 付加価値を 付けて 使う 環境の 両方を 強化する 必要が あります [1]。 - 海底資源の
採算性 :レアアース泥は開発技術の 確立と 総合評価を 進めている 段階で、 商業生産に 向けては 採算性を 高める 研究が 必要と されています [1]。
主要プレイヤー
- 海洋研究開発機構(JAMSTEC) ↗
深海探査・海洋観測の研究開発と研究船・探査機の運用
- 海上保安庁「海しる」 ↗
海洋情報を集約する海洋状況表示システムを運用
- エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC) ↗
海底鉱物資源やエネルギー資源の調査・探査を担う
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局 ↗
海洋基本計画など政府の海洋政策を取りまとめる
- 川崎重工業 ↗
海底パイプライン点検などに使う自律型無人潜水機を開発
出典
- [1]戦略17分野における「主要な製品・技術等」の官民投資ロードマップ(海洋分野 p.124〜138)内閣官房(日本成長戦略本部決定)・2026-07-21
- [2]日本成長戦略内閣官房(閣議決定)・2026-07-21

