生命・食 / DEEP DIVE
フードテック
植物工場・陸上養殖・食品機械をシステムごと輸出し、食を安定させる
編集:株式会社アルテレクト / 更新
みらい図鑑の解説イラスト
AI GUIDE / MIRAIミライのやさしい解説
食の未来は、工場で育つ?
食料を作る、加工する、届ける過程を技術で改善する分野だよ。植物工場も選択肢のひとつで、すべての作物に向くわけではないんだ。
植物に合う環境を整える部屋のようなもの。光、温度、水を管理する代わりに、設備や電力が必要になる。
安定生産に加えて、費用、エネルギー、味、受け入れやすさも大切。技術が新しいことだけでは普及は決まらない。
- 植物工場システムの世界市場(予測)
- 2025年1.5兆円→2040年55兆円[1] 生産物込み。Precedence Researchの調査をもとにロードマップが試算
- 陸上養殖システムの世界市場(予測)
- 2025年0.35兆円→2040年31兆円[1] 生産物込み。ロードマップの試算
- 植物工場・陸上養殖の市場シェア目標
- 2040年に3割[1] 植物工場は国内外市場、陸上養殖は世界市場でのシェア
- 植物工場で想定する官民投資額
- 4.6兆円[1] 2040年度までの累計。経済波及効果は36.8兆円と想定
技術と暮らしが、つながる場面。
植物工場で栽培環境を管理する場面を例に、この分野の技術がどこで役立つのかを考えてみましょう。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。仕組み
4つの項目は、それぞれ次のような技術です [1]。
- 植物工場:空調や照明で環境を制御し、天候に左右されずに定時・定量・定価格・定品質(4定)で農産物をつくります。商業栽培は現在レタスなどの葉菜類が中心で、果菜類は研究開発の段階です。
- 陸上養殖:水を浄化して循環させる閉鎖循環式(RAS)などで、海の環境に左右されずに魚を育てます。技術は国際的にも総じて実証段階にあります。
- 食品機械:前処理・加工・充填・包装・検査・保存などの工程ごとの機械と、低温高湿度で生鮮品の鮮度を保つ技術です。人手不足を背景に、AIやロボットによる高性能化が進んでいます。
- 新規食品:非動物由来のたんぱく食品や、機能性・栄養食品です。たんぱく質需要の拡大に食料システムが追いつかない「プロテインクライシス」への備えとして位置づけられています。
フードテックは、どう動く?
ひとつの技術だけで完結するのではなく、前の工程が次の工程を支えています。図の矢印に沿って、役割のつながりを見てみましょう。
- 1環境を整える
- 2生産する
- 3品質を確認する
- 4食卓に届ける
市場と規模
ロードマップは、各項目の世界市場を次のように予測しています(いずれも生産物やサービスを含む)[1]。
- 植物工場システム:2025年1.5兆円、2030年4.9兆円、2040年55兆円
- 陸上養殖システム:2025年0.35兆円、2030年2.4兆円、2040年31兆円
- 食品機械(鮮度保持技術を用いたサービスを含む):2025年16兆円、2030年21兆円、2040年33兆円
- 新規食品:2025年4.4兆円、2030年8.1兆円、2040年29兆円
政府は2040年にかけて、植物工場で国内外市場のシェア3割、陸上養殖で世界市場のシェア3割、食品機械と新規食品でそれぞれ国内外の売上3兆円を目指します [1]。2040年度までの官民投資は、植物工場4.6兆円、陸上養殖2.9兆円、食品機械1.2兆円、新規食品1.0兆円と想定されています [1]。
日本の強み
- 大規模な植物工場を商業運営し、ビジネスとして成り立たせてきた実績と良質なデータがあります。スタートアップが世界初のモジュール型の完全閉鎖型植物工場を開発した例もあります [1]。
- 陸上養殖では、水処理・浄化技術、最先端のゲノム関連技術による品種開発、人工種苗の生産技術などを持ち、スタートアップを中心に実証・商業化が進んでいます [1]。
- 日本の食品加工機械は、数十年に及ぶ耐久性、製造停止後の部品供給を含むアフターフォロー、顧客の要望に合わせたオーダーメイドに強みがあります。冷凍技術にも強みを持ちます [1]。
- だしなどの食文化を背景に、麹を使った発酵技術や、美味しさと栄養バランスを両立する調味技術があります [1]。
実用化には、何が必要?
安定生産に加えて、費用、エネルギー、味、受け入れやすさも大切。技術が新しいことだけでは普及は決まらない。
編集部による理解のための図解です。実在の設備や導入実績を示すものではありません。主要プレイヤー
- プランテックス ↗
生産性を高めた人工光型植物工場を開発・展開
- リージョナルフィッシュ ↗
高速の品種改良とスマート養殖技術を持つスタートアップ
- 不二製油 ↗
植物性油脂や大豆加工素材を開発・生産
- 前川製作所 ↗
産業用冷凍機と食品の冷凍・加工設備のメーカー
- 農研機構 ↗
農業・食品分野の国立研究開発法人
出典
- [1]戦略17分野における「主要な製品・技術等」の官民投資ロードマップ(フードテック分野)内閣官房(日本成長戦略本部決定)・2026-07-21
- [2]日本成長戦略 概要(閣議決定)内閣官房・2026-07-21

